2023年11月7日

10回目のフィエスタ・デ・エスパーニャによせて~

関係者インタビュー

Entrevista Fiestamilia!

大鍋パエリア編

El chef de fuego

楽しさの中で、本場の味と文化を伝えたい

栗原靖武さん

本場同様“薪で炊くパエリア”を提供する本格スペイン料理店『エル・トラゴン』(東京・虎ノ門)のオーナーシェフ栗原靖武さん。ディナーはもちろん、ランチタイムでも落ち着いた雰囲気でコース料理を楽しめるという上質なスペインレストランですが、一方姉妹店として、スペイン同様に訪問して一目ぼれしたという北海道・白老の味を楽しめる『白老食堂』も切り盛り。こちらは酒場の楽しさとにぎやかさ! 加えて都内はもちろん全国各地のフェスで、ご当地パエリア、大鍋パエリアを披露。大人の本格と、にぎやかなお祭り。いわゆる二刀流な、とにかく忙しい日々ですが、その中、今年もフィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)の大鍋パエリアで腕を振るっていただけるとのこと。実は栗原シェフにとってもフィエスタでの大鍋パエリアは特別なものだと言います。その理由を探る前に、まず大鍋パエリアというものについて訊いていきましょう。
栗原シェフ、大鍋パエリアはすっかりフィエスタ、いやそればかりではなく晩秋の代々木公園の名物になっていますね!

栗原さん:

ありがとうございます!直径1.5mの巨大な鍋で 1回400食炊くんですが、昨年は400食炊きあがった時にはすでに400人並んでいて、30分で売り切れてしまいました。さすがにあれは驚きましたね。毎回かなり行列ができて、ご不便をおかけしています。

1回400食!それが30分で完売!それにしてもあの巨大な鍋は迫力ありますね。

栗原さん:

鍋はたまたまスペインで買ったんです。あまりにもデカいんで使い道はどうするんだろう?って自分でもちょっとは躊躇したんですけど、まあ、後で考えようって(笑)。で、案の定というか買ったはいいけど、やっぱり店やイベントで立てかけて飾るぐらいしか用途がなくて(笑)。それでもせっかくだから使えるようにしたかったんです。そうしたら、今もイベントで手伝ってくれる知人が台座を工夫して作ってくれて。その後、これにあわせたガスコンロも使えるようになって、いろいろなイベントで炊けるようになったんです。フィエスタで使い始めたのは、フィエスタの5回目か6回目ぐらいですかね。

それまでもフィエスタには参加されていたんですよね?

栗原さん:

はい。初めて出たときは第2回。知り合いの会社が新しい事業でイベントをやりたい。そこで『豊洲パエリア』というイベントを開催していた私にお声がけいただいた。ただ私もその際はイベントのプロではなく、思い切って自力でやったということもあり、ノウハウをしっかり持っているところと話をした方が良いなと思い、フィエスタの実行委員に連絡しました。最初はゆるーく入らせていただいて、次の年には私が専務理事を務める『日本パエリア協会』として薪で炊くパエリアの実践をやらせていただきました。日本におけるパエリアの普及のために、フィエスタはとても良い機会だったんです。

栗原さんは、スペイン・バレンシアで開催されたパエリア選手権の国際部門で賞を獲得されるなどの実績をもって、本場のパエリアを日本に伝えられています。

栗原さん:

ありがとうございます。日本では海の幸を使ったパエリアが定番ですが、パエリア発祥の地といわれるバレンシア地域では、兎、鶏を使ったいわば山の幸のパエリアが主流で、これが元祖でもあります。フィエスタでの大鍋パエリアも、基本はこの源流ともいうべきパエリア『バレンシアーナ』で提供しています。なぜ山の幸なのか?なぜ本来は薪なのか?その裏にはこの地ならではの生活や文化があります。当日は炊くことに追われてそういう話がなかなかできないのですが、ぜひこうした話もしたいですね。

美味しいからこそ、楽しいからこそその意義も伝わるのでしょう。今回はお時間あけば、ぜひぜひそのあたりのトークも会場でしていただきたい!機会をぜひつくりましょう。さて、フィエスタに初期からかかわってこられた栗原さんから、10回目の歩みを見て感じることはありますか?

栗原さん:

ここまでフィエスタにかかわる皆さんが続けられたのは奇跡だなと思っていて。立ち上げたみなさん、ここまで継続してきた事務局やメンバーのみなさんは、イベントのプロでもスペインについてのプロフェッショナルの方々というわけではないのに、ここまで継続していただいた。代々木公園という場で安全に続けてきたのもそうですし、あきらめずにがんばってこられたなと。この機会を継続していただいて感謝です。

そういっていただけると、それぞれの思いをもって手弁当で集まったメンバーも報われたという気持ちになるでしょう……。スペインの魅力と、そこに代々木公園の週末というのが重なって、魔力にでもなったんでしょうかね(笑)。さて、10回目のフィエスタ。どのように楽しんでいただきましょうか?

栗原さん:

大鍋パエリアは主催者側としての展開なので、最初に大鍋パエリアを出したころは、ほかの出店者もパエリアを出されているので、売上面でご迷惑をおかけしちゃうかなという懸念はありました。年々重ねてきて、来場者のみなさんは、いろいろなパエリアがあるからこそ楽しんでもらえているんだなというのがわかりました。食べ比べで楽しまれている。これはいいですよね。10回目のフィエスタも、いろいろなパエリアが出ると思うのでぜひぜひ食べ比べしていただきたいです。それから大鍋パエリアではパエリアの表面をデコレーションするんですが、リクエストもしていただけたらうれしいですね。スポンサーしていただければ、お好きなデザインを施します。これからでも、来年の11回目でも、ぜひ!

フィエスタだけではなく、自身の主催イベントや、そのほかいろいろなイベントで大鍋パエリアを展開される栗原さん。パエリアの基本であり、自身の原点でもあるバレンシアーナというベースがあったうえで、各地のご当地食材とのコラボレーションや、イベントのゆるキャラのデコパエリアなどで、楽しさや可能性を広げています。フィエスタでも、文化を伝えるという原点があって、400人前の大鍋パエリアという華やかなアクティビティで目や体験から楽しませてくれる。「美味しい」の裏側にあるもの、「楽しい」の奥にあるもの。実はフィエスタでは飲食ブースもステージも、裏側、その奥に、熱い思いがあります。来場される皆さんに伝わるといいな、それもまた我々の願いです。

栗原さんのお店

Text: daiji iwase/FDE実行委員会

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