福祉系の会社に勤務し、フィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)ではボランティアリーダーとして活躍している高野さん。初めてボランティアとして参加したのは2014年の第2回とのことで、長らくフィエスタにかかわり支えてくれました。参加のきっかけは?
高野さん:
もともとボランティアには興味がありました。私の育った地域はボランティア活動が活発で、そもそもボランティアが身近にあったんです。私も小学生のころから手話の勉強をするなど、活動に取り組んでいました。中学も部活がボランティア。老人ホームを訪問したりしていました。高校に入って全く触れなくなった時期があったのですが、高3になって、“なにか久しぶりにやりたいな”と思いたって。イベントが好きだったのでイベント系のボランティアをやりたくて、いろいろ参加できるものを探していたんです。そこで見つけたのが『ASEAN FESTIVAL』。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の魅力を紹介するフェスで、横浜で第1回。第2回が代々木で開催されました。参加してみてやっぱりボランティアは楽しいなと。それから代々木公園で開催されるいろいろなイベントに参加するようになって、その流れでフィエスタにも参加しました。
“ボランティアって楽しい”と思われた、イベントでのボランティアの魅力ってどういうものでしょう?
高野さん:
“大人と話せる”ことです。年上の人と話せるのがとにかく楽しくて。普通に過ごしていたらまず出会えない世代や職業の方、それから、自分が興味を持っていない分野の趣味を持っている人に出会えるのも楽しい。子供の頃からいろいろな人から吸収するのが好きなタイプなんです。実際に吸収できているかはわからないですけど(笑)
確かにボランティアの参加者を見ると、多彩といいますかいろいろな人がいますね。
高野さん:
世界でも有名な企業の役員さんや、国のお仕事をされている方、経営者の方……、年齢の幅も広いんです。20歳前後から上は70歳ぐらいの方とほんと様々。その年齢や職業も違う方が一つの班になって動きます。
誰でもチャレンジできるし、お互いにいい経験になりそうですね。それにしても世代にしても立場にしても接点もない人たち同士がすぐに仲良くなれるものですか。高野さんは進んで吸収しようというタイプということですから大丈夫そうですが。
高野さん:
イベントのボランティアって一緒にいる時間が長いんですよ。朝8時から夜8時までとか。ですから休憩時間、活動時間など必然的に話す時間が多くなる。一人で参加される方も多いので、話し相手がいるといいんですよね。大変だよね、でも楽しいよね、なんていう話から始まって、自分の趣味や、仕事の話になって自然に打ち解けていって仲良くなっていくんです。
なるほど。そうすると、年上でも年下の話を素直に聞けたり、違う世界にも興味関心が持てたり、理解できる人がいいかも。
高野さん:
そうですね。別のフェスですが、ボランティア参加していた女性で、普段の私では接点を持てないような人生の先輩が、私や年下の人と話していると「とても楽しい、若い力がもらえる!」と言ってくださって。そういう方に参加いただけるとうれしいですね。
その方自身も、若い人にも双方に得るものがある。それもボランティアの魅力なんでしょうね。もちろん大変なこともあります。
高野さん:
はい。体力的にきつい部分はあります。またゴミステーションを担当していただく際は、ゴム手袋などはしっかりしていただくのですが、それでも汚れちゃう。汚れるのは仕方ないので、それを“嫌がりすぎない”でいただければですね。
得られること、大変なことを体験し、継続してくれている人もいらっしゃるんですか?
高野さん:
1回、2回から継続して参加しているボラさん(高野さんはボランティアスタッフのことを親しみを込めてそう呼びます)はいらっしゃいますね。スペインだけではなく他のフェスでも活動されているボラさんもいらっしゃいます。私と同様、イベントが楽しい、フェスが楽しいと感じられているんですね。それで、スペインはここが楽しい、ベトナムは、台湾はと、それぞれの色を楽しまれています。そういうボラさんにとってフィエスタについては、意外なところが評判なんですよ。
どういうところですか?
高野さん:
フェスは普段日本ではあまり接しないようなフードと出会えるのも楽しく、それを楽しみにしていらっしゃいます。フィエスタも同様で、いろいろな発見があるし、出店ブースの料理はどれをとってもおいしい。その上、ボラさんからは「スタッフのまかないの食堂がおいしい!」って喜ばれています。ボラさんは、温かいご飯が並ばなくて食べられるんです。慣れている方は、出店ブースで好きなおかずを買って食堂の温かいご飯で食べる、なんて工夫もされています。
体力も使うボランティア活動に美味しいごはんはとても良い力になりそうですね。では、10回目のフィエスタに寄せて。高野さんも9回目を迎えます。
高野さん:
とにかく楽しむ! 私は私でリーダーとして、事前の準備からやらなければいけないこと、大変なことはありますけど、とにかく私も楽しむ。日曜にはグレート・サンタ・ランもありますし、すごく華やかになりそうですしね。リーダー自身が楽しんでいないとみなさん、楽しめないですものね。ここには、いろんな出会いもありますし、ぜひぜひ、大いに楽しんでいただきたいです!
リーダーとして「言葉は大切」という高野さん。どう意義を感じて、真剣に取り組んでいただけるか。これまでの経験から、リーダーからの言葉一つで変わると感じています。例えば「お給料をもらっている仕事ではないけれど、やっていることは仕事と同じ。これをどう表現するか」ということまで悩む。出した結論が“活動”という言葉。さらりと聞き流しそうな言葉一つにも、その裏には思いが詰め込まれています。フィエスタも同様。来場される皆さんを、お客様ではなくて“参加者”と呼んでいます。フィエスタは送り手と受け手の関係ではなく、双方が協力してはじめて成立する。役割が違うだけ。そのほかにも、いろいろな思いが言葉に変わっていきます。10回を迎えられるのも、ボランティアのみなさんの活動、来場者が参加者として、ボラさんたちをリスペクトし、マナーを守って楽しんでくれたからこそ。10回目、ボランティア参加を希望されるみなさん、大いに楽しみながら新しい出会いを!
本場同様“薪で炊くパエリア”を提供する本格スペイン料理店『エル・トラゴン』(東京・虎ノ門)のオーナーシェフ栗原靖武さん。ディナーはもちろん、ランチタイムでも落ち着いた雰囲気でコース料理を楽しめるという上質なスペインレストランですが、一方姉妹店として、スペイン同様に訪問して一目ぼれしたという北海道・白老の味を楽しめる『白老食堂』も切り盛り。こちらは酒場の楽しさとにぎやかさ! 加えて都内はもちろん全国各地のフェスで、ご当地パエリア、大鍋パエリアを披露。大人の本格と、にぎやかなお祭り。いわゆる二刀流な、とにかく忙しい日々ですが、その中、今年もフィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)の大鍋パエリアで腕を振るっていただけるとのこと。実は栗原シェフにとってもフィエスタでの大鍋パエリアは特別なものだと言います。その理由を探る前に、まず大鍋パエリアというものについて訊いていきましょう。
栗原シェフ、大鍋パエリアはすっかりフィエスタ、いやそればかりではなく晩秋の代々木公園の名物になっていますね!
栗原さん:
ありがとうございます!直径1.5mの巨大な鍋で 1回400食炊くんですが、昨年は400食炊きあがった時にはすでに400人並んでいて、30分で売り切れてしまいました。さすがにあれは驚きましたね。毎回かなり行列ができて、ご不便をおかけしています。
1回400食!それが30分で完売!それにしてもあの巨大な鍋は迫力ありますね。
栗原さん:
鍋はたまたまスペインで買ったんです。あまりにもデカいんで使い道はどうするんだろう?って自分でもちょっとは躊躇したんですけど、まあ、後で考えようって(笑)。で、案の定というか買ったはいいけど、やっぱり店やイベントで立てかけて飾るぐらいしか用途がなくて(笑)。それでもせっかくだから使えるようにしたかったんです。そうしたら、今もイベントで手伝ってくれる知人が台座を工夫して作ってくれて。その後、これにあわせたガスコンロも使えるようになって、いろいろなイベントで炊けるようになったんです。フィエスタで使い始めたのは、フィエスタの5回目か6回目ぐらいですかね。
それまでもフィエスタには参加されていたんですよね?
栗原さん:
はい。初めて出たときは第2回。知り合いの会社が新しい事業でイベントをやりたい。そこで『豊洲パエリア』というイベントを開催していた私にお声がけいただいた。ただ私もその際はイベントのプロではなく、思い切って自力でやったということもあり、ノウハウをしっかり持っているところと話をした方が良いなと思い、フィエスタの実行委員に連絡しました。最初はゆるーく入らせていただいて、次の年には私が専務理事を務める『日本パエリア協会』として薪で炊くパエリアの実践をやらせていただきました。日本におけるパエリアの普及のために、フィエスタはとても良い機会だったんです。
栗原さんは、スペイン・バレンシアで開催されたパエリア選手権の国際部門で賞を獲得されるなどの実績をもって、本場のパエリアを日本に伝えられています。
栗原さん:
ありがとうございます。日本では海の幸を使ったパエリアが定番ですが、パエリア発祥の地といわれるバレンシア地域では、兎、鶏を使ったいわば山の幸のパエリアが主流で、これが元祖でもあります。フィエスタでの大鍋パエリアも、基本はこの源流ともいうべきパエリア『バレンシアーナ』で提供しています。なぜ山の幸なのか?なぜ本来は薪なのか?その裏にはこの地ならではの生活や文化があります。当日は炊くことに追われてそういう話がなかなかできないのですが、ぜひこうした話もしたいですね。
美味しいからこそ、楽しいからこそその意義も伝わるのでしょう。今回はお時間あけば、ぜひぜひそのあたりのトークも会場でしていただきたい!機会をぜひつくりましょう。さて、フィエスタに初期からかかわってこられた栗原さんから、10回目の歩みを見て感じることはありますか?
栗原さん:
ここまでフィエスタにかかわる皆さんが続けられたのは奇跡だなと思っていて。立ち上げたみなさん、ここまで継続してきた事務局やメンバーのみなさんは、イベントのプロでもスペインについてのプロフェッショナルの方々というわけではないのに、ここまで継続していただいた。代々木公園という場で安全に続けてきたのもそうですし、あきらめずにがんばってこられたなと。この機会を継続していただいて感謝です。
そういっていただけると、それぞれの思いをもって手弁当で集まったメンバーも報われたという気持ちになるでしょう……。スペインの魅力と、そこに代々木公園の週末というのが重なって、魔力にでもなったんでしょうかね(笑)。さて、10回目のフィエスタ。どのように楽しんでいただきましょうか?
栗原さん:
大鍋パエリアは主催者側としての展開なので、最初に大鍋パエリアを出したころは、ほかの出店者もパエリアを出されているので、売上面でご迷惑をおかけしちゃうかなという懸念はありました。年々重ねてきて、来場者のみなさんは、いろいろなパエリアがあるからこそ楽しんでもらえているんだなというのがわかりました。食べ比べで楽しまれている。これはいいですよね。10回目のフィエスタも、いろいろなパエリアが出ると思うのでぜひぜひ食べ比べしていただきたいです。それから大鍋パエリアではパエリアの表面をデコレーションするんですが、リクエストもしていただけたらうれしいですね。スポンサーしていただければ、お好きなデザインを施します。これからでも、来年の11回目でも、ぜひ!
フィエスタだけではなく、自身の主催イベントや、そのほかいろいろなイベントで大鍋パエリアを展開される栗原さん。パエリアの基本であり、自身の原点でもあるバレンシアーナというベースがあったうえで、各地のご当地食材とのコラボレーションや、イベントのゆるキャラのデコパエリアなどで、楽しさや可能性を広げています。フィエスタでも、文化を伝えるという原点があって、400人前の大鍋パエリアという華やかなアクティビティで目や体験から楽しませてくれる。「美味しい」の裏側にあるもの、「楽しい」の奥にあるもの。実はフィエスタでは飲食ブースもステージも、裏側、その奥に、熱い思いがあります。来場される皆さんに伝わるといいな、それもまた我々の願いです。
栗原さんのお店
元々はシステムエンジニアでフラメンコに出会い、スペインに魅せられた中熊さん。フィエスタには最初観客として訪れ、ボランティアとして関わり、10年目の今年になって初めてのステージマネージャーとして采配を振るうこととなりました。フラメンコとの出会いはどんなきっかけでしたか?
中熊さん:
最初はエンジニアでデスクワークだったこともあり、運動不足も感じていたので、何か自分に合いそうなダンスとか挑戦してみようと始めてみたのがフラメンコでした。ただ元はイタリアが好きだったんです(笑)それで、ラテンのダンスってどんなのがあったっけって…。ああ、フラメンコだと思って始めたらすっかりはまってしまいました。今ではフラメンコとスペインが大好きで、その時ちょうどシステムエンジニアとしてのキャリアにも不安があったので、いっそ仕事も思い切って変えて。今はフラメンコに限らず、スペインの文化を日本に伝えるお手伝いがしたくて、スペインの踊り手さんや歌い手さんなどが日本で活躍できる場を提供する会社を立ち上げたんです。
最初の目的は運動不足解消から、今ではスペインの文化にどっぷり浸かって会社まで立ち上げられたのですね!現地にもよく行かれるのですか?
中熊さん:
はい。仕事で行くこともあり、フラメンコの先生もいるので通って教わったりと行ったり来たりをしています。
ご自身が躍る側で出演されるより、日本に踊り手さん達を呼びお仕事を紹介される経営をされているのですよね。どうしてそういうお仕事を選んだのですか?
中熊さん:
フラメンコを通してスペインの文化に触れ、すっかり魅了されていつしかこの文化を伝える側になりたいと思ったんです。自身もいち文化の表現者としてフラメンコを踊りますが、スペインの文化はフラメンコだけではないんですよね。素敵なスペインの文化をもっと知ってもらうにはどうしたらいいだろう、と思ったら、スペインと日本を橋渡しする方にまわり、それぞれのスペイン文化の継承者を日本に呼ぶことで伝えていけばいいと思ったんです。そこから会社を立ち上げて、今3年目になりました。
私も同じくフラメンコがスペインとの出会いをくれて、実際一時期ですが住んでいた身として非常に共感します。そこからどんなきっかけでフィエスタに出会いましたか?
中熊さん:
最初は有名な歌い手さんが出演するという噂を聞きつけて、もちろんステージ目的で観客として行きました。そこから、せっかく日本にいながらスペインを感じられるイベントなのでどんな形でもいいから関わってみたいなと。なので、ボランティアに応募することにして。そこから2年はボランティアで関わっていました。2018年になって、ステージ側で人が足りていないという話を受けて、そこからはステージに関わることができるようになりました。一度ステージに立ったこともあるのですが、基本は出演者さんを招致したり、ステージのマネジメントをしたりする方を担当しています。
今年は中熊さんがはじめてメインでステージをデザインされているのですよね。今年のステージはどんなことを来場者の方々に伝えたいですか?
中熊さん:
やっぱり、スペインの文化を存分に味わってもらうことですね。先ほども言いましたが、スペインの文化ってフラメンコや食だけではなくって。歌も、他の踊りも、ギターもそれぞれ素晴らしい方々がいらっしゃいます。フェスってどうしてもエンタメ要素が強いので、有名どころや娯楽に的を絞った演出が多くなりがちなのですが、今年のステージはこれでもか!というくらいスペインを詰め込んだ豪華な出演者さんをお呼びしているので、ぜひいつもは目に出来ない新しいスペインの魅力を感じ取っていただきたいです。
私も楽しみにしています!それでは最後に中熊さんにとってのフィエスタとは。そして10年目のフィエスタへの意気込みをお願いします!
中熊さん:
私にとってのフィエスタは、大好きなスペインを現地に行かずしても感じられる場所です。そんなフィエスタの花形ステージを、自分がデザインできてとても嬉しいです。今年は色んなスペインの表情を見てもらえるような、アニバーサリーにふさわしいステージに仕上げていますので、ぜひお誘いあわせの上ご来場ください!
ステージに熱い思いを懸ける中熊さん。ステージで最も心がけているところは”出演者さんそれぞれが伝えたい思い、見どころを最適な形で来場者の方に伝えられるように、日取りや時間帯、演目を一緒になって考えること”だそうです。出演者さんは皆さんスペイン文化を継承し、伝えるプロの方。その伝えるお手伝いをすることが、ご自身の起業のきっかけでもあり、フィエスタで中熊さん自身が成しえたい姿。記念すべき今年のフィエスタは、様々なスペインを覗けるチャンスですので、ぜひ多くの来場者の方の笑顔とハレオ(スペイン語で掛け声の意)が見聞きできることを楽しみにしています。
グルメイベントとしても人気のフィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)ですが、両輪となるのはスペイン文化を楽しめるステージプログラム。スペインを代表する舞踊・フラメンコをはじめ、スパニッシュギター、歌劇のサルスエラ、ポップ音楽のトゥナ、スペインで活躍するアーティストの登場、文化を伝えるトークなど多彩なプログラムが展開され、来場される方を魅了してきました。このステージをさらに熱く、楽しく盛り上げていくのがステージMCのお二人。モデル、タレントで、ソムリエの資格も持つワイン通のマリーサさんと、MC/DJユニット『DDS』のメンバーで、SNSでは“ビールおじさん”のアカウントでビールのある幸せな日常や非日常を綴るヒラマツカズヒロさんです。今回はコンビを組んで3回目。お二人にはこれまでのステージで印象にのこっていること、実はこんなことを意識しているということ、そして今年の見どころをうかがいましょう。
まず、マリーサさんは2015年の3回目からMCを務められています。きっかけは?
マリーサさん:
2014年に代々木公園でスペインフェスをやっているらしいと聞いたんです。それまで知らなかったんですけど、“そんなの私が出ないで誰が出るのよ”って(笑)。 “私出たいです”って自分でメールを送りました。
マリーサさんはお父様がスペイン人で、お母さんが日本人。まさにフィエスタにとってはうってつけの人。必然的な出会いでしたね。
マリーサさん:
実は初代の実行委員長だったマテオさんは知りあいでしたし、フィエスタではおなじみの音楽グループ『ラ・トゥナ』のおじさんたちはちっちゃい頃からよく知っていました。今でもステージで会うと“大きくなったなー”なんて。タイミング的には仕事で悩んでいた頃でした。当時は音楽番組のMCという仕事が多くて、それは楽しかったのですが、事務所のマネージャーとせっかくなのだからもっとタレント、MCとして“スペイン感を出していったほうがいいんじゃないか”と話していた時期だったんです。確かに音楽番組ではあまりスペイン感は出てなかったので。
タイミングも良かったんですね。ヒラマツさんのきっかけは?
ヒラマツさん:
僕は2回目、2014年。しゃべりではなく音楽のDJとして呼ばれました。その時は特設のサブステージでDJさんたちがプレイ。でも曲が“あれ?スペインじゃないなぁ”って。一応最後にヴォラーレを僕たちでかけたんですけど、“次回からは僕らにエンリケ・イグレシアスとかかけさせてくださいよ~”なんて実行委員会の人に言ってたらいつのまにか、じゃあ喋りの方もとなって。まあ、そのとき一緒に“ヴォラーレかけさせろ!”ってねじ込んだDDSのもう一人、岩瀬さんが、今や実行委員長ですからね(笑)
そうですね(笑)。そのもう一人という私が翌年からメインステージでマリーサさんといつのまにかMCをやっていて(笑)。その2014年、ヒラマツさんはフィールドで主にインフォメーションと夕方からの盛り上げの担当でした。
ヒラマツさん:
はい。それなのにいきなりメインステージのじゃんけん大会に、「じゃんけんおじさん」なる謎キャラであげられて。
マリーサさん:
覚えてる、覚えてる。誰や?じゃんけんおじさんって(笑)。
ヒラマツさん:
そんな感じで数年やって、2019年に、岩瀬さんから、“実行委員長になったのでメインステージ任せます”と。それで2代目夫婦漫才…いやマリーサとメインステージを担当することになりました。
(笑)。最初ステージにあがっていかがでした?
マリーサさん:
自分のアイデンティティのある場所に立てた、という気持ちになったのは今でもよく覚えています。やっとこの年で戻ってこれた。日本語とスペイン語を交えてフラメンコを呼び込む……最高ですよ。日本人もスペイン人のお客さんもいるし、そこにスペイン語で伝えることができる。“なぜ今までここにいなかったんだろう”とも思いました。子供のころからスペイン語、フラメンコ、スペインの音楽も周りにあって。ステージでセビジャーナス(皆で踊るスペイン舞踊)を一緒に踊った瞬間は感動的でした。来場者のみなさんは別に私を見にきてくれているわけではないけど、でも目線があったらみんな笑顔。幸せでした。
ヒラマツさん:
僕は逆にスペインのことは、サイクルロードレースで好きな選手がいたり、バスケやサッカーが強いというぐらいの好き加減で。スペインイベントがあるよって呼ばれても、ちょっとわかんないっすって(笑)。それがステージに出ることによって身近で文化や考え方も学ぶことができた。貴重な機会ですよ。最初はスペイン語だってオラ、サルー、ブエノスディアス…ぐらいからでしたけど、もうちょっとはできるようになりましたかね。
マリーサさんがスペイン通、ヒラマツさんがスペインビギナーの“僕ら”代表という感じ。いいコンビですね。ステージ上は華やかですが苦労したこともあるようですね。
ヒラマツさん:
僕がメインMCに変わったタイミングが2019年。コロナの影響で開催中止にするかしないか実行委員会も決断を迫られている状況でした。結果、開催となったのですが、会場を全部柵で囲って、検温・消毒の入場ゲートを設置。基本、僕が言うのは注意事項。そればかりずーっと。盛り上がったら抑えなきゃいけない。盛り上がりたいのは僕たちも一緒。でも続けていくためには……辛かったですね。フラメンコに合わせてにぎやかにしていた女性が、あとから「すいません、知らずに…」と泣きながら来ていただけたのは印象的でした。こちらも申し訳ない気持ちで……。前回はようやく、ステージ上でも盛り上げて、夕方からフィールドステージに降りたら、みなさん手をつないだり、フラメンコやトゥナの演奏で声をあげて。あれはウルってきましたね。
では、11年目の10回目。どういう気持ちで臨みますか?またどんな感じで楽しんでいただきましょうか。
マリーサさん:
10回目、私たちみんな、確実に歳をとってるじゃないですか。だからおばちゃんキャラでいこうかな。キャピキャピではなくどっしり構える感じ。“あんたスペインのそんなこともしらないの! スペイン不足よ!”ってやってみようかな(笑)。
ヒラマツさん:
マリーサ姐さん、怖いよ!(笑)
マリーサさん:
来場者の皆さんには、存分に楽しんでいただきたいですね。スペインは食文化、お酒文化強いじゃないですか。ステージ見に来るときは酒とつまみを持ってきてほしいですね。手ぶらはダメ(笑)。
ヒラマツさん:
僕らが呑んでいるのも見逃してください(笑)。オレ!フィエスタミリア!の掛け声とともにサルー(乾杯)したいです。それからメインステージはメインステージで面白いんだけど、夕方からのフィールドでのプログラムはみなさんとの距離が近い。目線が同じぐらいなので熱気も感じられますし、みなさんの眼も輝いていらっしゃる。そこから僕も本格的に呑み始めます(笑)。マリーサも一緒にフィールドでやりましょう!
マリーサさん:
もちろんです!
イベントを盛り上げることがMCの仕事ですが、実はそれと同じぐらい、いや、もしかしたらより大事な役割は、イベント自体を円滑に、安全に、楽しんでいただくために、声と言葉と表情で場を作っていくこと。お二人も楽しいかけあいの裏で、舞台が整うまでのつなぎや、演者さんが良いパフォーマンスができるような雰囲気づくり、ただ盛り上がるだけではない来場者の皆さんと演者さんや出店者さんとのコミュニケーションづくりを心掛けています。夕方あたりからは“呑ミュニケーション”になっているかもしれませんが(笑)。ぜひお二人の言葉に耳を傾けていただき、一緒に良き雰囲気を作っていきましょう!
このフィエスタを創設し、11年にわたり育て上げ続けてきた私たちのJefe(ボス)である福島さん。なぜ、フィエスタを立ち上げたのか?なぜスペインだったのか?本日は根掘り葉掘り伺わせていただきます!まずは立ち上げの経緯について聞かせていただけますでしょうか?
福島さん:
娘が幼少の頃から仲良くしていたママ友に相談されたのがきっかけです。彼女はスペインの文化、とりわけフラメンコやカンテに魅了されていて、親子で訪西を繰り返していました。日本にこの素晴らしいスペイン文化をもっと広めたいと思った彼女は、お店を出したりイベントを開催したり…。そうやって色々な方法を考えている中で、私に相談があったのです。私も「やるとなったら大変ですよ~」と言いながら、つい面白そうと「よし、やってみましょう!」となってしまいました(笑) その頃はまだ、オクトーバーフェスト以外にヨーロッパ系の野外フェスで成功しているものは少なかったと思います。スペインには美食の文化もありますし、皆様に喜んでもらえるのではないかと思い企画を始めました。
きっかけはご友人だったのですね!しかしご相談を受けるということは福島さんご自身も別でイベント開催やこういった企画の立ち上げをされていたのですか?
福島さん:
そうですね。久しぶりに思い出しましたが(笑)こういった野外・フード系のフェスについては、2005年頃から企画運営に関わっていました。
そうだったのですね。先行して成功している事例も少ない中、探りながら様々な困難にも立ち向かって、今年の10回目が開催されていると思うと…私は今年から参画させていただいた身ですがとても感慨深いです。特にこれしんどかったな…というシーンはありますか?
福島さん:
思い出は語り尽くせないほどあるんですが、何よりこのコロナですね。一度開催を見送ることになりました。なので、今回が11年目で10回目となる訳です。続けることの大変さを感じていますが、ゆえに価値があるとの想いで実行委員一同頑張っています。
そして、野外なので当たり前なのですが、毎度の天気ですね。危険なほどの大雨大風ではなくても、どうしても来場者が減ってしまうので、出店者様の売上が伸びない時はやりきれない気持ちになります。一応、過去10年で最も降雨の少ない週末を選んで会期を設定してこのフェスを始めたのですが、なかなかうまくいかないときもあります。
コロナの影響はイベント・催事にとって本当に打撃の大きいものでしたね。その翌年になっても、開催こそあれども感染予防対策であらゆる管理がなされ、あのスペインの活気をフィエスタで表現するには、もどかしい規制も多くせざるを得なかったのは苦しかったと思います。天気の影響は野外ならではの悩みですね。でもやっぱ晴れの日が多いのは、適切な時期設定と我らの実行委員長が晴れ男ということでしょうか!(笑)
福島さん:
そうかもしれませんね(笑)
あと、特に印象的な思い出は初回開催の際、協力依頼のお願いをしに行く先々でなかなか信用してもらえず困ったこと。それはそうですよね。今まで私は全くスペインに関わってきていないのですから。ですが、2016年にお亡くなりになった堀越千秋さん(世界的に著名なスペイン在住の日本人画家)にお会いさせていただいたときのこと、「こういうのをまとめるときは外野がやるのがいいよ、君がやったらいい」と言ってくださいました。その言葉を胸に、そこからまたネジを巻き直して色々な方面にアタックしていったことを覚えています。
ご友人の相談から、有名画家さんに勇気をもらうなど。そんな様々な出会いに背中を押され、このフィエスタが今も続いているなんて、まだまだ聞きたいドラマがこの11年分たくさんありますが、改めて続けてきたからこそ感じる今のお気持ちはいかがでしょうか?
福島さん:
ボランティアの皆さんや実行委員会も、歴の長い人と最近入ってきてくださった新しい世代の方が喧々諤々議論を交わす姿を見るに、新しい時代を感じています。関わっていた面々もそれぞれライフステージを変えながら、毎年一度の再会を楽しみにしてくださっている方々も増えて、このつながりが広がってきたことを嬉しく感じています。
11年という月日の大きさを感じますね。まさにこの10回目の節目のテーマである「繋いできた。だから、広げていく」がぴったりの、これまでのつながりが輪のようにより拡大する、そんな年にしたいですね。それでは、最後にこれまで関わってきた方々、そして今年新たに出会える方々、すべてのFiestamiliaに一言お願いします!!
福島さん:
フィエスタと言えば、何と言ってもステージと食!に加えて様々なアトラクションや文化コンテンツも加え、東京の秋の日を家族や気の置けない方々とゆっくりと楽しんでいただけるように進化していきたいと思っています。多くの方々の協力を得て、今年は次の10年を感じていただけるような、そんなワクワクするような2日間にしたいと思っています。皆様、今年もぜひ足をお運びください!
設立の2012年から、この10回目にいたるまでに広がってきたつながりの輪の中心柱として、フィエスタをリードしてくださった福島さん。次の10年に向けてという強い意気込みもいただき、今年以降もさらに進化し紡いでいくストーリーを聞く日が楽しみです。これまでのインタビューでご紹介させていただいたFDE実行委員会は、仕事も年齢もバラバラなのに、それぞれ『日本最大級のスペインイベントの運営者』という自負をもって、「もっと多くの方にスペインを身近に感じていただきたい!」と活動しているチームです。そんなチームの中心で、この11年旗を振ってくださりありがとうございました。来年以降も引き続き、そんな福島さんや実行委員の皆さまに多くの人が引き寄せられ、新しい10年が始まっていきますよう!
10回目の記念すべき回にふさわしく豪華オフィシャルサポーターとしてご参加いただいた、元NMB48で今はスペインで女優業をされている上枝恵美加さん。アイドルから女優、日本の活動からスペインへ、と気になるその経歴とスペインにかける想いを取材させていただきました。上枝さん、まずは今回のオフィシャルサポーターへの就任ありがとうございました!
上枝さん:
こちらこそ今回はフィエスタ・デ・エスパーニャへの参加ならびにオフィシャルサポーターとして多くの方へこの素敵なイベントのご紹介ができること、嬉しく思っています!
私たちも、まさか元NMBで現在はスペインでご活躍されている方が私たちのイベントを知っていて下さり、こうして一緒に運営できるなんてとても嬉しく思っています。上枝さんはもともと当イベントをご存じだったのですか?
上枝さん:
はい!知っていました。私はスペインに拠点を置きつつ最近は日本での活動も結構多いのですが、普段は大阪にいるんです。日本最大のスペインイベントということで、このフィエスタ・デ・エスパーニャのことは知っていたのですが、なかなか東京に行くタイミング調整などあって…。今回やっと来ることができたのですが、本当にスペインにいるような感覚になれるイベントでびっくりです(笑)
普段スペインにいらっしゃる方からそう言われると、すごく嬉しいですね!どんなところが特にスペインを感じるポイントでしたか?
上枝さん:
やっぱり昼から、なんなら朝から…(笑)お酒を片手に陽気な音楽と開放的な空間で過ごしている方々がたくさん見られるところですかね~。これぞスペイン!って感じ。あとは私の大好きなレモンビアがあるところ!これ日本ではあんまり見ないんですよね…。
ビアカクテルは各国種類ありますが、スペインと言えばビールのファンタレモン割ですよね!!私も大好きで、基本あれ一択ですね(笑)上枝さんはもともとスペイン自体にはどういったきっかけで出会ったのですか?
上枝さん:
最初は大学の頃でしたね。履修科目に第二外国語があって、スペイン語を履修していました。選んだ特別な理由はなかったのですが、世界の中で言語圏が広いスペイン語がいいなと。ただ、そのころはNMB48の活動も並行しながら学生生活を送っていたので、全然授業にも出られていなくて(笑)だから、授業に出る代わりと言ってはなんですが現地に行けば短期で見につくんじゃないかと思って、およそ2週間でしたがスペインに行ったのが最初の出会いだったのかなと。行動力だけは異常にあるので(笑)
思ったよりすごく上枝さんを身近に感じられるような、学生らしい理由でした(笑)そこからどんどんスペインに惹かれて住まわれることになったんですか?
上枝さん:
そうですね、大学卒業と同時に海外でお芝居を勉強しようというのは決めていたので、最初はイギリスでと思っていたのですが。丁度その頃イギリスでテロが起きてしまって、親や周囲とも相談してその時は断念したんです。ただ、スペインに行って過ごしやすさを感じていたのと、スペイン語は公用語としても世界で幅広く使われているのでもっと勉強した方がいいんじゃないかなと思って。イギリスも近いし、行こうと思えばチャンスも多いだろうという理由で、最終的にはスペインに拠点をもつことを決めました。今となっては、全てがつながっている気がして、なんか運命みたいなものを感じています。
すばらしいですね!上枝さんは、女優になることがずっと夢だったのですか?
上枝さん:
はい、女優になりたいなと思ったのはたしか9歳とかで…。ただアイドルにもなりたいと思っていたので、女優を目指す前のステップとしてアイドルにも挑戦をしました。あとは海外にも興味があって…と全部かなえよう!と思ったら、国境も言語も越えてお芝居ができる人になれたらとても素敵だな~って。そうして今の生活を選んだ感じですね。
アイドル活動をしながら学生もして、その多忙な中で次の夢にも挑戦するのは並大抵の努力ではなかったのだろうなと思います。海外に旅行に行くのと、実際住んでみるのとだと世界が違って見えるといいますが、現在のスペインでの生活をスタートして、スペインという国の感じ方はどう変化しましたか?
上枝さん:
スペインって特に夏はなんですけど、日がとっても長くて21時とかまで太陽が出ているんですよね。そんな気候だからか、みんなテラスとかで気持ちよさそうに朝から晩までお酒を飲んだり、わいわいしたり、本当に明るいところだなって。日本って悪い意味ではないですが、すこし生き急いでいるというか何かにいつも追われている感覚が根本にある感じがしていたのですが、スペインは人生を毎日精一杯楽しんでいる感じがしてそういうところはとても好きですね。あとは、お祭りの日でパーティー騒ぎしていた次の週に、デモが起きるなどその時によってギャップが大きい部分もありましたが、それも全部悪いことではなくってスペインという国の人々がいかに色んな思想を持った民族で形成されている国なのだなという勉強になりました。日々の生活面でいうと、距離感の近さもスペインと日本では違いを大きく感じました。挨拶のキスやハグに慣れてしまうと、日本に帰国したときにふと出ちゃいそうで「危ない、危ない…」と感じます(笑)でも、私は自身の愛情の伝え方について、芸能活動を通じてファンの方や関係者の皆様に伝える時、どうやれば伝わるのかを意識するので、スペインのまっすぐな愛情表現が好きですね。
“Vive en momento(今この瞬間を生きよう)”ってよく言いますもんね。一つの国の中に様々な顔を持つスペインの文化や国民性は、日本とはまた違う独特さを感じますよね。もっと色々弾ませたいトークが私の中で溢れそうですが…!最後に、そんなスペインでの活動と今後の意気込みをいただけますでしょうか。
上枝さん:
芸能活動を日本とスペインとで行っていて、コロナの期間に一度停止してしまっていた時期がありました。自分には何が出来るだろうと改めて考える日々があって、これまでの日本でのアイドル活動、海外にいたことでの語学力、これまで培ってきた経験を最大限活かせるように自分らしいお芝居に変えて発信を続けたいと改めて感じました。スペインには日本の良さを、日本ではスペインの良さを、世界中にむけても発信できるように、スキルをさらに磨いて多くの作品で皆様にお届けできるように頑張りますので、応援のほどどうぞ宜しくお願いします!
国境を越えて、言語も越えて、まさに架け橋として世界と日本をつなぐ活動をしておられる上枝さん。今回のフィエスタの2日間も、実際現地に住んでいるからこそお持ちの豊富な知識を織り交ぜた食レポや文化紹介を、とても素敵な笑顔でSNSを通して発信し続けてくださりました。見えている景色はいつもの代々木公園ですが、スペインを愛する人が多く参加して形成されるからこそ感じられる本場のスペインの光景を思い起こすことが出来たと感じられているそうです。本年はその輪に素敵な風を吹かせてくれた上枝さん、改めまして二日間ありがとうございました。今後の益々のご活躍も楽しみに応援しております!
10回目の記念すべき回にふさわしく豪華オフィシャルサポーターとしてご参加いただいた、元NMB48で今はスペインで女優業をされている上枝恵美加さん。アイドルから女優、日本の活動からスペインへ、と気になるその経歴とスペインにかける想いを取材させていただきました。上枝さん、まずは今回のオフィシャルサポーターへの就任ありがとうございました!
上枝さん:
こちらこそ今回はフィエスタ・デ・エスパーニャへの参加ならびにオフィシャルサポーターとして多くの方へこの素敵なイベントのご紹介ができること、嬉しく思っています!
私たちも、まさか元NMBで現在はスペインでご活躍されている方が私たちのイベントを知っていて下さり、こうして一緒に運営できるなんてとても嬉しく思っています。上枝さんはもともと当イベントをご存じだったのですか?
上枝さん:
はい!知っていました。私はスペインに拠点を置きつつ最近は日本での活動も結構多いのですが、普段は大阪にいるんです。日本最大のスペインイベントということで、このフィエスタ・デ・エスパーニャのことは知っていたのですが、なかなか東京に行くタイミング調整などあって…。今回やっと来ることができたのですが、本当にスペインにいるような感覚になれるイベントでびっくりです(笑)
普段スペインにいらっしゃる方からそう言われると、すごく嬉しいですね!どんなところが特にスペインを感じるポイントでしたか?
上枝さん:
やっぱり昼から、なんなら朝から…(笑)お酒を片手に陽気な音楽と開放的な空間で過ごしている方々がたくさん見られるところですかね~。これぞスペイン!って感じ。あとは私の大好きなレモンビアがあるところ!これ日本ではあんまり見ないんですよね…。
ビアカクテルは各国種類ありますが、スペインと言えばビールのファンタレモン割ですよね!!私も大好きで、基本あれ一択ですね(笑)上枝さんはもともとスペイン自体にはどういったきっかけで出会ったのですか?
上枝さん:
最初は大学の頃でしたね。履修科目に第二外国語があって、スペイン語を履修していました。選んだ特別な理由はなかったのですが、世界の中で言語圏が広いスペイン語がいいなと。ただ、そのころはNMB48の活動も並行しながら学生生活を送っていたので、全然授業にも出られていなくて(笑)だから、授業に出る代わりと言ってはなんですが現地に行けば短期で見につくんじゃないかと思って、およそ2週間でしたがスペインに行ったのが最初の出会いだったのかなと。行動力だけは異常にあるので(笑)
思ったよりすごく上枝さんを身近に感じられるような、学生らしい理由でした(笑)そこからどんどんスペインに惹かれて住まわれることになったんですか?
上枝さん:
そうですね、大学卒業と同時に海外でお芝居を勉強しようというのは決めていたので、最初はイギリスでと思っていたのですが。丁度その頃イギリスでテロが起きてしまって、親や周囲とも相談してその時は断念したんです。ただ、スペインに行って過ごしやすさを感じていたのと、スペイン語は公用語としても世界で幅広く使われているのでもっと勉強した方がいいんじゃないかなと思って。イギリスも近いし、行こうと思えばチャンスも多いだろうという理由で、最終的にはスペインに拠点をもつことを決めました。今となっては、全てがつながっている気がして、なんか運命みたいなものを感じています。
すばらしいですね!上枝さんは、女優になることがずっと夢だったのですか?
上枝さん:
はい、女優になりたいなと思ったのはたしか9歳とかで…。ただアイドルにもなりたいと思っていたので、女優を目指す前のステップとしてアイドルにも挑戦をしました。あとは海外にも興味があって…と全部かなえよう!と思ったら、国境も言語も越えてお芝居ができる人になれたらとても素敵だな~って。そうして今の生活を選んだ感じですね。
アイドル活動をしながら学生もして、その多忙な中で次の夢にも挑戦するのは並大抵の努力ではなかったのだろうなと思います。海外に旅行に行くのと、実際住んでみるのとだと世界が違って見えるといいますが、現在のスペインでの生活をスタートして、スペインという国の感じ方はどう変化しましたか?
上枝さん:
スペインって特に夏はなんですけど、日がとっても長くて21時とかまで太陽が出ているんですよね。そんな気候だからか、みんなテラスとかで気持ちよさそうに朝から晩までお酒を飲んだり、わいわいしたり、本当に明るいところだなって。日本って悪い意味ではないですが、すこし生き急いでいるというか何かにいつも追われている感覚が根本にある感じがしていたのですが、スペインは人生を毎日精一杯楽しんでいる感じがしてそういうところはとても好きですね。あとは、お祭りの日でパーティー騒ぎしていた次の週に、デモが起きるなどその時によってギャップが大きい部分もありましたが、それも全部悪いことではなくってスペインという国の人々がいかに色んな思想を持った民族で形成されている国なのだなという勉強になりました。日々の生活面でいうと、距離感の近さもスペインと日本では違いを大きく感じました。挨拶のキスやハグに慣れてしまうと、日本に帰国したときにふと出ちゃいそうで「危ない、危ない…」と感じます(笑)でも、私は自身の愛情の伝え方について、芸能活動を通じてファンの方や関係者の皆様に伝える時、どうやれば伝わるのかを意識するので、スペインのまっすぐな愛情表現が好きですね。
“Vive en momento(今この瞬間を生きよう)”ってよく言いますもんね。一つの国の中に様々な顔を持つスペインの文化や国民性は、日本とはまた違う独特さを感じますよね。もっと色々弾ませたいトークが私の中で溢れそうですが…!最後に、そんなスペインでの活動と今後の意気込みをいただけますでしょうか。
上枝さん:
芸能活動を日本とスペインとで行っていて、コロナの期間に一度停止してしまっていた時期がありました。自分には何が出来るだろうと改めて考える日々があって、これまでの日本でのアイドル活動、海外にいたことでの語学力、これまで培ってきた経験を最大限活かせるように自分らしいお芝居に変えて発信を続けたいと改めて感じました。スペインには日本の良さを、日本ではスペインの良さを、世界中にむけても発信できるように、スキルをさらに磨いて多くの作品で皆様にお届けできるように頑張りますので、応援のほどどうぞ宜しくお願いします!
国境を越えて、言語も越えて、まさに架け橋として世界と日本をつなぐ活動をしておられる上枝さん。今回のフィエスタの2日間も、実際現地に住んでいるからこそお持ちの豊富な知識を織り交ぜた食レポや文化紹介を、とても素敵な笑顔でSNSを通して発信し続けてくださりました。見えている景色はいつもの代々木公園ですが、スペインを愛する人が多く参加して形成されるからこそ感じられる本場のスペインの光景を思い起こすことが出来たと感じられているそうです。本年はその輪に素敵な風を吹かせてくれた上枝さん、改めまして二日間ありがとうございました。今後の益々のご活躍も楽しみに応援しております!
このフィエスタを創設し、11年にわたり育て上げ続けてきた私たちのJefe(ボス)である福島さん。なぜ、フィエスタを立ち上げたのか?なぜスペインだったのか?本日は根掘り葉掘り伺わせていただきます!まずは立ち上げの経緯について聞かせていただけますでしょうか?
福島さん:
娘が幼少の頃から仲良くしていたママ友に相談されたのがきっかけです。彼女はスペインの文化、とりわけフラメンコやカンテに魅了されていて、親子で訪西を繰り返していました。日本にこの素晴らしいスペイン文化をもっと広めたいと思った彼女は、お店を出したりイベントを開催したり…。そうやって色々な方法を考えている中で、私に相談があったのです。私も「やるとなったら大変ですよ~」と言いながら、つい面白そうと「よし、やってみましょう!」となってしまいました(笑) その頃はまだ、オクトーバーフェスト以外にヨーロッパ系の野外フェスで成功しているものは少なかったと思います。スペインには美食の文化もありますし、皆様に喜んでもらえるのではないかと思い企画を始めました。
きっかけはご友人だったのですね!しかしご相談を受けるということは福島さんご自身も別でイベント開催やこういった企画の立ち上げをされていたのですか?
福島さん:
そうですね。久しぶりに思い出しましたが(笑)こういった野外・フード系のフェスについては、2005年頃から企画運営に関わっていました。
そうだったのですね。先行して成功している事例も少ない中、探りながら様々な困難にも立ち向かって、今年の10回目が開催されていると思うと…私は今年から参画させていただいた身ですがとても感慨深いです。特にこれしんどかったな…というシーンはありますか?
福島さん:
思い出は語り尽くせないほどあるんですが、何よりこのコロナですね。一度開催を見送ることになりました。なので、今回が11年目で10回目となる訳です。続けることの大変さを感じていますが、ゆえに価値があるとの想いで実行委員一同頑張っています。
そして、野外なので当たり前なのですが、毎度の天気ですね。危険なほどの大雨大風ではなくても、どうしても来場者が減ってしまうので、出店者様の売上が伸びない時はやりきれない気持ちになります。一応、過去10年で最も降雨の少ない週末を選んで会期を設定してこのフェスを始めたのですが、なかなかうまくいかないときもあります。
コロナの影響はイベント・催事にとって本当に打撃の大きいものでしたね。その翌年になっても、開催こそあれども感染予防対策であらゆる管理がなされ、あのスペインの活気をフィエスタで表現するには、もどかしい規制も多くせざるを得なかったのは苦しかったと思います。天気の影響は野外ならではの悩みですね。でもやっぱ晴れの日が多いのは、適切な時期設定と我らの実行委員長が晴れ男ということでしょうか!(笑)
福島さん:
そうかもしれませんね(笑)
あと、特に印象的な思い出は初回開催の際、協力依頼のお願いをしに行く先々でなかなか信用してもらえず困ったこと。それはそうですよね。今まで私は全くスペインに関わってきていないのですから。ですが、2016年にお亡くなりになった堀越千秋さん(世界的に著名なスペイン在住の日本人画家)にお会いさせていただいたときのこと、「こういうのをまとめるときは外野がやるのがいいよ、君がやったらいい」と言ってくださいました。その言葉を胸に、そこからまたネジを巻き直して色々な方面にアタックしていったことを覚えています。
ご友人の相談から、有名画家さんに勇気をもらうなど。そんな様々な出会いに背中を押され、このフィエスタが今も続いているなんて、まだまだ聞きたいドラマがこの11年分たくさんありますが、改めて続けてきたからこそ感じる今のお気持ちはいかがでしょうか?
福島さん:
ボランティアの皆さんや実行委員会も、歴の長い人と最近入ってきてくださった新しい世代の方が喧々諤々議論を交わす姿を見るに、新しい時代を感じています。関わっていた面々もそれぞれライフステージを変えながら、毎年一度の再会を楽しみにしてくださっている方々も増えて、このつながりが広がってきたことを嬉しく感じています。
11年という月日の大きさを感じますね。まさにこの10回目の節目のテーマである「繋いできた。だから、広げていく」がぴったりの、これまでのつながりが輪のようにより拡大する、そんな年にしたいですね。それでは、最後にこれまで関わってきた方々、そして今年新たに出会える方々、すべてのFiestamiliaに一言お願いします!!
福島さん:
フィエスタと言えば、何と言ってもステージと食!に加えて様々なアトラクションや文化コンテンツも加え、東京の秋の日を家族や気の置けない方々とゆっくりと楽しんでいただけるように進化していきたいと思っています。多くの方々の協力を得て、今年は次の10年を感じていただけるような、そんなワクワクするような2日間にしたいと思っています。皆様、今年もぜひ足をお運びください!
設立の2012年から、この10回目にいたるまでに広がってきたつながりの輪の中心柱として、フィエスタをリードしてくださった福島さん。次の10年に向けてという強い意気込みもいただき、今年以降もさらに進化し紡いでいくストーリーを聞く日が楽しみです。これまでのインタビューでご紹介させていただいたFDE実行委員会は、仕事も年齢もバラバラなのに、それぞれ『日本最大級のスペインイベントの運営者』という自負をもって、「もっと多くの方にスペインを身近に感じていただきたい!」と活動しているチームです。そんなチームの中心で、この11年旗を振ってくださりありがとうございました。来年以降も引き続き、そんな福島さんや実行委員の皆さまに多くの人が引き寄せられ、新しい10年が始まっていきますよう!
グルメイベントとしても人気のフィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)ですが、両輪となるのはスペイン文化を楽しめるステージプログラム。スペインを代表する舞踊・フラメンコをはじめ、スパニッシュギター、歌劇のサルスエラ、ポップ音楽のトゥナ、スペインで活躍するアーティストの登場、文化を伝えるトークなど多彩なプログラムが展開され、来場される方を魅了してきました。このステージをさらに熱く、楽しく盛り上げていくのがステージMCのお二人。モデル、タレントで、ソムリエの資格も持つワイン通のマリーサさんと、MC/DJユニット『DDS』のメンバーで、SNSでは“ビールおじさん”のアカウントでビールのある幸せな日常や非日常を綴るヒラマツカズヒロさんです。今回はコンビを組んで3回目。お二人にはこれまでのステージで印象にのこっていること、実はこんなことを意識しているということ、そして今年の見どころをうかがいましょう。
まず、マリーサさんは2015年の3回目からMCを務められています。きっかけは?
マリーサさん:
2014年に代々木公園でスペインフェスをやっているらしいと聞いたんです。それまで知らなかったんですけど、“そんなの私が出ないで誰が出るのよ”って(笑)。 “私出たいです”って自分でメールを送りました。
マリーサさんはお父様がスペイン人で、お母さんが日本人。まさにフィエスタにとってはうってつけの人。必然的な出会いでしたね。
マリーサさん:
実は初代の実行委員長だったマテオさんは知りあいでしたし、フィエスタではおなじみの音楽グループ『ラ・トゥナ』のおじさんたちはちっちゃい頃からよく知っていました。今でもステージで会うと“大きくなったなー”なんて。タイミング的には仕事で悩んでいた頃でした。当時は音楽番組のMCという仕事が多くて、それは楽しかったのですが、事務所のマネージャーとせっかくなのだからもっとタレント、MCとして“スペイン感を出していったほうがいいんじゃないか”と話していた時期だったんです。確かに音楽番組ではあまりスペイン感は出てなかったので。
タイミングも良かったんですね。ヒラマツさんのきっかけは?
ヒラマツさん:
僕は2回目、2014年。しゃべりではなく音楽のDJとして呼ばれました。その時は特設のサブステージでDJさんたちがプレイ。でも曲が“あれ?スペインじゃないなぁ”って。一応最後にヴォラーレを僕たちでかけたんですけど、“次回からは僕らにエンリケ・イグレシアスとかかけさせてくださいよ~”なんて実行委員会の人に言ってたらいつのまにか、じゃあ喋りの方もとなって。まあ、そのとき一緒に“ヴォラーレかけさせろ!”ってねじ込んだDDSのもう一人、岩瀬さんが、今や実行委員長ですからね(笑)
そうですね(笑)。そのもう一人という私が翌年からメインステージでマリーサさんといつのまにかMCをやっていて(笑)。その2014年、ヒラマツさんはフィールドで主にインフォメーションと夕方からの盛り上げの担当でした。
ヒラマツさん:
はい。それなのにいきなりメインステージのじゃんけん大会に、「じゃんけんおじさん」なる謎キャラであげられて。
マリーサさん:
覚えてる、覚えてる。誰や?じゃんけんおじさんって(笑)。
ヒラマツさん:
そんな感じで数年やって、2019年に、岩瀬さんから、“実行委員長になったのでメインステージ任せます”と。それで2代目夫婦漫才…いやマリーサとメインステージを担当することになりました。
(笑)。最初ステージにあがっていかがでした?
マリーサさん:
自分のアイデンティティのある場所に立てた、という気持ちになったのは今でもよく覚えています。やっとこの年で戻ってこれた。日本語とスペイン語を交えてフラメンコを呼び込む……最高ですよ。日本人もスペイン人のお客さんもいるし、そこにスペイン語で伝えることができる。“なぜ今までここにいなかったんだろう”とも思いました。子供のころからスペイン語、フラメンコ、スペインの音楽も周りにあって。ステージでセビジャーナス(皆で踊るスペイン舞踊)を一緒に踊った瞬間は感動的でした。来場者のみなさんは別に私を見にきてくれているわけではないけど、でも目線があったらみんな笑顔。幸せでした。
ヒラマツさん:
僕は逆にスペインのことは、サイクルロードレースで好きな選手がいたり、バスケやサッカーが強いというぐらいの好き加減で。スペインイベントがあるよって呼ばれても、ちょっとわかんないっすって(笑)。それがステージに出ることによって身近で文化や考え方も学ぶことができた。貴重な機会ですよ。最初はスペイン語だってオラ、サルー、ブエノスディアス…ぐらいからでしたけど、もうちょっとはできるようになりましたかね。
マリーサさんがスペイン通、ヒラマツさんがスペインビギナーの“僕ら”代表という感じ。いいコンビですね。ステージ上は華やかですが苦労したこともあるようですね。
ヒラマツさん:
僕がメインMCに変わったタイミングが2019年。コロナの影響で開催中止にするかしないか実行委員会も決断を迫られている状況でした。結果、開催となったのですが、会場を全部柵で囲って、検温・消毒の入場ゲートを設置。基本、僕が言うのは注意事項。そればかりずーっと。盛り上がったら抑えなきゃいけない。盛り上がりたいのは僕たちも一緒。でも続けていくためには……辛かったですね。フラメンコに合わせてにぎやかにしていた女性が、あとから「すいません、知らずに…」と泣きながら来ていただけたのは印象的でした。こちらも申し訳ない気持ちで……。前回はようやく、ステージ上でも盛り上げて、夕方からフィールドステージに降りたら、みなさん手をつないだり、フラメンコやトゥナの演奏で声をあげて。あれはウルってきましたね。
では、11年目の10回目。どういう気持ちで臨みますか?またどんな感じで楽しんでいただきましょうか。
マリーサさん:
10回目、私たちみんな、確実に歳をとってるじゃないですか。だからおばちゃんキャラでいこうかな。キャピキャピではなくどっしり構える感じ。“あんたスペインのそんなこともしらないの! スペイン不足よ!”ってやってみようかな(笑)。
ヒラマツさん:
マリーサ姐さん、怖いよ!(笑)
マリーサさん:
来場者の皆さんには、存分に楽しんでいただきたいですね。スペインは食文化、お酒文化強いじゃないですか。ステージ見に来るときは酒とつまみを持ってきてほしいですね。手ぶらはダメ(笑)。
ヒラマツさん:
僕らが呑んでいるのも見逃してください(笑)。オレ!フィエスタミリア!の掛け声とともにサルー(乾杯)したいです。それからメインステージはメインステージで面白いんだけど、夕方からのフィールドでのプログラムはみなさんとの距離が近い。目線が同じぐらいなので熱気も感じられますし、みなさんの眼も輝いていらっしゃる。そこから僕も本格的に呑み始めます(笑)。マリーサも一緒にフィールドでやりましょう!
マリーサさん:
もちろんです!
イベントを盛り上げることがMCの仕事ですが、実はそれと同じぐらい、いや、もしかしたらより大事な役割は、イベント自体を円滑に、安全に、楽しんでいただくために、声と言葉と表情で場を作っていくこと。お二人も楽しいかけあいの裏で、舞台が整うまでのつなぎや、演者さんが良いパフォーマンスができるような雰囲気づくり、ただ盛り上がるだけではない来場者の皆さんと演者さんや出店者さんとのコミュニケーションづくりを心掛けています。夕方あたりからは“呑ミュニケーション”になっているかもしれませんが(笑)。ぜひお二人の言葉に耳を傾けていただき、一緒に良き雰囲気を作っていきましょう!
元々はシステムエンジニアでフラメンコに出会い、スペインに魅せられた中熊さん。フィエスタには最初観客として訪れ、ボランティアとして関わり、10年目の今年になって初めてのステージマネージャーとして采配を振るうこととなりました。フラメンコとの出会いはどんなきっかけでしたか?
中熊さん:
最初はエンジニアでデスクワークだったこともあり、運動不足も感じていたので、何か自分に合いそうなダンスとか挑戦してみようと始めてみたのがフラメンコでした。ただ元はイタリアが好きだったんです(笑)それで、ラテンのダンスってどんなのがあったっけって…。ああ、フラメンコだと思って始めたらすっかりはまってしまいました。今ではフラメンコとスペインが大好きで、その時ちょうどシステムエンジニアとしてのキャリアにも不安があったので、いっそ仕事も思い切って変えて。今はフラメンコに限らず、スペインの文化を日本に伝えるお手伝いがしたくて、スペインの踊り手さんや歌い手さんなどが日本で活躍できる場を提供する会社を立ち上げたんです。
最初の目的は運動不足解消から、今ではスペインの文化にどっぷり浸かって会社まで立ち上げられたのですね!現地にもよく行かれるのですか?
中熊さん:
はい。仕事で行くこともあり、フラメンコの先生もいるので通って教わったりと行ったり来たりをしています。
ご自身が躍る側で出演されるより、日本に踊り手さん達を呼びお仕事を紹介される経営をされているのですよね。どうしてそういうお仕事を選んだのですか?
中熊さん:
フラメンコを通してスペインの文化に触れ、すっかり魅了されていつしかこの文化を伝える側になりたいと思ったんです。自身もいち文化の表現者としてフラメンコを踊りますが、スペインの文化はフラメンコだけではないんですよね。素敵なスペインの文化をもっと知ってもらうにはどうしたらいいだろう、と思ったら、スペインと日本を橋渡しする方にまわり、それぞれのスペイン文化の継承者を日本に呼ぶことで伝えていけばいいと思ったんです。そこから会社を立ち上げて、今3年目になりました。
私も同じくフラメンコがスペインとの出会いをくれて、実際一時期ですが住んでいた身として非常に共感します。そこからどんなきっかけでフィエスタに出会いましたか?
中熊さん:
最初は有名な歌い手さんが出演するという噂を聞きつけて、もちろんステージ目的で観客として行きました。そこから、せっかく日本にいながらスペインを感じられるイベントなのでどんな形でもいいから関わってみたいなと。なので、ボランティアに応募することにして。そこから2年はボランティアで関わっていました。2018年になって、ステージ側で人が足りていないという話を受けて、そこからはステージに関わることができるようになりました。一度ステージに立ったこともあるのですが、基本は出演者さんを招致したり、ステージのマネジメントをしたりする方を担当しています。
今年は中熊さんがはじめてメインでステージをデザインされているのですよね。今年のステージはどんなことを来場者の方々に伝えたいですか?
中熊さん:
やっぱり、スペインの文化を存分に味わってもらうことですね。先ほども言いましたが、スペインの文化ってフラメンコや食だけではなくって。歌も、他の踊りも、ギターもそれぞれ素晴らしい方々がいらっしゃいます。フェスってどうしてもエンタメ要素が強いので、有名どころや娯楽に的を絞った演出が多くなりがちなのですが、今年のステージはこれでもか!というくらいスペインを詰め込んだ豪華な出演者さんをお呼びしているので、ぜひいつもは目に出来ない新しいスペインの魅力を感じ取っていただきたいです。
私も楽しみにしています!それでは最後に中熊さんにとってのフィエスタとは。そして10年目のフィエスタへの意気込みをお願いします!
中熊さん:
私にとってのフィエスタは、大好きなスペインを現地に行かずしても感じられる場所です。そんなフィエスタの花形ステージを、自分がデザインできてとても嬉しいです。今年は色んなスペインの表情を見てもらえるような、アニバーサリーにふさわしいステージに仕上げていますので、ぜひお誘いあわせの上ご来場ください!
ステージに熱い思いを懸ける中熊さん。ステージで最も心がけているところは”出演者さんそれぞれが伝えたい思い、見どころを最適な形で来場者の方に伝えられるように、日取りや時間帯、演目を一緒になって考えること”だそうです。出演者さんは皆さんスペイン文化を継承し、伝えるプロの方。その伝えるお手伝いをすることが、ご自身の起業のきっかけでもあり、フィエスタで中熊さん自身が成しえたい姿。記念すべき今年のフィエスタは、様々なスペインを覗けるチャンスですので、ぜひ多くの来場者の方の笑顔とハレオ(スペイン語で掛け声の意)が見聞きできることを楽しみにしています。
本場同様“薪で炊くパエリア”を提供する本格スペイン料理店『エル・トラゴン』(東京・虎ノ門)のオーナーシェフ栗原靖武さん。ディナーはもちろん、ランチタイムでも落ち着いた雰囲気でコース料理を楽しめるという上質なスペインレストランですが、一方姉妹店として、スペイン同様に訪問して一目ぼれしたという北海道・白老の味を楽しめる『白老食堂』も切り盛り。こちらは酒場の楽しさとにぎやかさ! 加えて都内はもちろん全国各地のフェスで、ご当地パエリア、大鍋パエリアを披露。大人の本格と、にぎやかなお祭り。いわゆる二刀流な、とにかく忙しい日々ですが、その中、今年もフィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)の大鍋パエリアで腕を振るっていただけるとのこと。実は栗原シェフにとってもフィエスタでの大鍋パエリアは特別なものだと言います。その理由を探る前に、まず大鍋パエリアというものについて訊いていきましょう。
栗原シェフ、大鍋パエリアはすっかりフィエスタ、いやそればかりではなく晩秋の代々木公園の名物になっていますね!
栗原さん:
ありがとうございます!直径1.5mの巨大な鍋で 1回400食炊くんですが、昨年は400食炊きあがった時にはすでに400人並んでいて、30分で売り切れてしまいました。さすがにあれは驚きましたね。毎回かなり行列ができて、ご不便をおかけしています。
1回400食!それが30分で完売!それにしてもあの巨大な鍋は迫力ありますね。
栗原さん:
鍋はたまたまスペインで買ったんです。あまりにもデカいんで使い道はどうするんだろう?って自分でもちょっとは躊躇したんですけど、まあ、後で考えようって(笑)。で、案の定というか買ったはいいけど、やっぱり店やイベントで立てかけて飾るぐらいしか用途がなくて(笑)。それでもせっかくだから使えるようにしたかったんです。そうしたら、今もイベントで手伝ってくれる知人が台座を工夫して作ってくれて。その後、これにあわせたガスコンロも使えるようになって、いろいろなイベントで炊けるようになったんです。フィエスタで使い始めたのは、フィエスタの5回目か6回目ぐらいですかね。
それまでもフィエスタには参加されていたんですよね?
栗原さん:
はい。初めて出たときは第2回。知り合いの会社が新しい事業でイベントをやりたい。そこで『豊洲パエリア』というイベントを開催していた私にお声がけいただいた。ただ私もその際はイベントのプロではなく、思い切って自力でやったということもあり、ノウハウをしっかり持っているところと話をした方が良いなと思い、フィエスタの実行委員に連絡しました。最初はゆるーく入らせていただいて、次の年には私が専務理事を務める『日本パエリア協会』として薪で炊くパエリアの実践をやらせていただきました。日本におけるパエリアの普及のために、フィエスタはとても良い機会だったんです。
栗原さんは、スペイン・バレンシアで開催されたパエリア選手権の国際部門で賞を獲得されるなどの実績をもって、本場のパエリアを日本に伝えられています。
栗原さん:
ありがとうございます。日本では海の幸を使ったパエリアが定番ですが、パエリア発祥の地といわれるバレンシア地域では、兎、鶏を使ったいわば山の幸のパエリアが主流で、これが元祖でもあります。フィエスタでの大鍋パエリアも、基本はこの源流ともいうべきパエリア『バレンシアーナ』で提供しています。なぜ山の幸なのか?なぜ本来は薪なのか?その裏にはこの地ならではの生活や文化があります。当日は炊くことに追われてそういう話がなかなかできないのですが、ぜひこうした話もしたいですね。
美味しいからこそ、楽しいからこそその意義も伝わるのでしょう。今回はお時間あけば、ぜひぜひそのあたりのトークも会場でしていただきたい!機会をぜひつくりましょう。さて、フィエスタに初期からかかわってこられた栗原さんから、10回目の歩みを見て感じることはありますか?
栗原さん:
ここまでフィエスタにかかわる皆さんが続けられたのは奇跡だなと思っていて。立ち上げたみなさん、ここまで継続してきた事務局やメンバーのみなさんは、イベントのプロでもスペインについてのプロフェッショナルの方々というわけではないのに、ここまで継続していただいた。代々木公園という場で安全に続けてきたのもそうですし、あきらめずにがんばってこられたなと。この機会を継続していただいて感謝です。
そういっていただけると、それぞれの思いをもって手弁当で集まったメンバーも報われたという気持ちになるでしょう……。スペインの魅力と、そこに代々木公園の週末というのが重なって、魔力にでもなったんでしょうかね(笑)。さて、10回目のフィエスタ。どのように楽しんでいただきましょうか?
栗原さん:
大鍋パエリアは主催者側としての展開なので、最初に大鍋パエリアを出したころは、ほかの出店者もパエリアを出されているので、売上面でご迷惑をおかけしちゃうかなという懸念はありました。年々重ねてきて、来場者のみなさんは、いろいろなパエリアがあるからこそ楽しんでもらえているんだなというのがわかりました。食べ比べで楽しまれている。これはいいですよね。10回目のフィエスタも、いろいろなパエリアが出ると思うのでぜひぜひ食べ比べしていただきたいです。それから大鍋パエリアではパエリアの表面をデコレーションするんですが、リクエストもしていただけたらうれしいですね。スポンサーしていただければ、お好きなデザインを施します。これからでも、来年の11回目でも、ぜひ!
フィエスタだけではなく、自身の主催イベントや、そのほかいろいろなイベントで大鍋パエリアを展開される栗原さん。パエリアの基本であり、自身の原点でもあるバレンシアーナというベースがあったうえで、各地のご当地食材とのコラボレーションや、イベントのゆるキャラのデコパエリアなどで、楽しさや可能性を広げています。フィエスタでも、文化を伝えるという原点があって、400人前の大鍋パエリアという華やかなアクティビティで目や体験から楽しませてくれる。「美味しい」の裏側にあるもの、「楽しい」の奥にあるもの。実はフィエスタでは飲食ブースもステージも、裏側、その奥に、熱い思いがあります。来場される皆さんに伝わるといいな、それもまた我々の願いです。
栗原さんのお店
福祉系の会社に勤務し、フィエスタ・デ・エスパーニャ(以下フィエスタ)ではボランティアリーダーとして活躍している高野さん。初めてボランティアとして参加したのは2014年の第2回とのことで、長らくフィエスタにかかわり支えてくれました。参加のきっかけは?
高野さん:
もともとボランティアには興味がありました。私の育った地域はボランティア活動が活発で、そもそもボランティアが身近にあったんです。私も小学生のころから手話の勉強をするなど、活動に取り組んでいました。中学も部活がボランティア。老人ホームを訪問したりしていました。高校に入って全く触れなくなった時期があったのですが、高3になって、“なにか久しぶりにやりたいな”と思いたって。イベントが好きだったのでイベント系のボランティアをやりたくて、いろいろ参加できるものを探していたんです。そこで見つけたのが『ASEAN FESTIVAL』。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の魅力を紹介するフェスで、横浜で第1回。第2回が代々木で開催されました。参加してみてやっぱりボランティアは楽しいなと。それから代々木公園で開催されるいろいろなイベントに参加するようになって、その流れでフィエスタにも参加しました。
“ボランティアって楽しい”と思われた、イベントでのボランティアの魅力ってどういうものでしょう?
高野さん:
“大人と話せる”ことです。年上の人と話せるのがとにかく楽しくて。普通に過ごしていたらまず出会えない世代や職業の方、それから、自分が興味を持っていない分野の趣味を持っている人に出会えるのも楽しい。子供の頃からいろいろな人から吸収するのが好きなタイプなんです。実際に吸収できているかはわからないですけど(笑)
確かにボランティアの参加者を見ると、多彩といいますかいろいろな人がいますね。
高野さん:
世界でも有名な企業の役員さんや、国のお仕事をされている方、経営者の方……、年齢の幅も広いんです。20歳前後から上は70歳ぐらいの方とほんと様々。その年齢や職業も違う方が一つの班になって動きます。
誰でもチャレンジできるし、お互いにいい経験になりそうですね。それにしても世代にしても立場にしても接点もない人たち同士がすぐに仲良くなれるものですか。高野さんは進んで吸収しようというタイプということですから大丈夫そうですが。
高野さん:
イベントのボランティアって一緒にいる時間が長いんですよ。朝8時から夜8時までとか。ですから休憩時間、活動時間など必然的に話す時間が多くなる。一人で参加される方も多いので、話し相手がいるといいんですよね。大変だよね、でも楽しいよね、なんていう話から始まって、自分の趣味や、仕事の話になって自然に打ち解けていって仲良くなっていくんです。
なるほど。そうすると、年上でも年下の話を素直に聞けたり、違う世界にも興味関心が持てたり、理解できる人がいいかも。
高野さん:
そうですね。別のフェスですが、ボランティア参加していた女性で、普段の私では接点を持てないような人生の先輩が、私や年下の人と話していると「とても楽しい、若い力がもらえる!」と言ってくださって。そういう方に参加いただけるとうれしいですね。
その方自身も、若い人にも双方に得るものがある。それもボランティアの魅力なんでしょうね。もちろん大変なこともあります。
高野さん:
はい。体力的にきつい部分はあります。またゴミステーションを担当していただく際は、ゴム手袋などはしっかりしていただくのですが、それでも汚れちゃう。汚れるのは仕方ないので、それを“嫌がりすぎない”でいただければですね。
得られること、大変なことを体験し、継続してくれている人もいらっしゃるんですか?
高野さん:
1回、2回から継続して参加しているボラさん(高野さんはボランティアスタッフのことを親しみを込めてそう呼びます)はいらっしゃいますね。スペインだけではなく他のフェスでも活動されているボラさんもいらっしゃいます。私と同様、イベントが楽しい、フェスが楽しいと感じられているんですね。それで、スペインはここが楽しい、ベトナムは、台湾はと、それぞれの色を楽しまれています。そういうボラさんにとってフィエスタについては、意外なところが評判なんですよ。
どういうところですか?
高野さん:
フェスは普段日本ではあまり接しないようなフードと出会えるのも楽しく、それを楽しみにしていらっしゃいます。フィエスタも同様で、いろいろな発見があるし、出店ブースの料理はどれをとってもおいしい。その上、ボラさんからは「スタッフのまかないの食堂がおいしい!」って喜ばれています。ボラさんは、温かいご飯が並ばなくて食べられるんです。慣れている方は、出店ブースで好きなおかずを買って食堂の温かいご飯で食べる、なんて工夫もされています。
体力も使うボランティア活動に美味しいごはんはとても良い力になりそうですね。では、10回目のフィエスタに寄せて。高野さんも9回目を迎えます。
高野さん:
とにかく楽しむ! 私は私でリーダーとして、事前の準備からやらなければいけないこと、大変なことはありますけど、とにかく私も楽しむ。日曜にはグレート・サンタ・ランもありますし、すごく華やかになりそうですしね。リーダー自身が楽しんでいないとみなさん、楽しめないですものね。ここには、いろんな出会いもありますし、ぜひぜひ、大いに楽しんでいただきたいです!
リーダーとして「言葉は大切」という高野さん。どう意義を感じて、真剣に取り組んでいただけるか。これまでの経験から、リーダーからの言葉一つで変わると感じています。例えば「お給料をもらっている仕事ではないけれど、やっていることは仕事と同じ。これをどう表現するか」ということまで悩む。出した結論が“活動”という言葉。さらりと聞き流しそうな言葉一つにも、その裏には思いが詰め込まれています。フィエスタも同様。来場される皆さんを、お客様ではなくて“参加者”と呼んでいます。フィエスタは送り手と受け手の関係ではなく、双方が協力してはじめて成立する。役割が違うだけ。そのほかにも、いろいろな思いが言葉に変わっていきます。10回を迎えられるのも、ボランティアのみなさんの活動、来場者が参加者として、ボラさんたちをリスペクトし、マナーを守って楽しんでくれたからこそ。10回目、ボランティア参加を希望されるみなさん、大いに楽しみながら新しい出会いを!
10月14日(土)〜19日(木)
@池袋西口公園野外劇場 グローバルリング シアター
@としま区民センター
豊島区で1週間、バスク語、文化、伝統スポーツ、美食をお楽しみいただけます!本場バスクならではの体験を満喫できる絶好の機会です。皆様とご家族のお越しを心よりお待ちしております。
10月13日(金) 18:30
としま区民センター 多目的ホール
この期間にさまざまな”バスク”に触れて発見してください!